オゾンとは
高い酸化力を持ち殺菌等に効果を発揮する
そもそもオゾンとはどういう物質なのでしょう。
その化学組成は、酸素原子3個で構成される物質で、通常は気体として存在しています。原子2個の酸素分子が安定した状態にあるのに対し、オゾンは非常に不安定な物質です。オゾンが分解した時に生じる発生期の酸素が、非常に高い酸化力持ち、殺菌以外にも脱臭、漂白などに利用することができます。
殺菌に焦点を当ててみても、浄水場や下水処理場、食品工場、給食施設などで幅広く利用されています。
そもそも、オゾンによる水道水の浄水処理は1906年のヨーロッパ、フランスのニース浄水場に始まり、現在フランス国内で700ヶ所の浄水場でオゾン処理が行われ、さらにドイツ、スイス等も積極的に導入が進み、アメリカでも1990年代になり急速に増加しています。
元々ヨーロッパでは病原菌の殺菌を起点として、早くから塩素処理法により副生成される発ガン性物質「トリハロメタン」毒性が問題となり、脱塩素による浄水法としてのオゾン処理法が位置づけられました。また日本でも東京都金町浄水場をはじめ、各県75ヶ所の浄水場においてオゾンの殺菌脱臭システムが導入されており、その効果と安全性には既に100年の歴史と実績があります。
オゾンはどのようにして菌を殺すのでしょう。その答えは、オゾンが細菌の細胞壁を直接攻撃して分解してしまうところにあります。細胞壁を攻撃するとき、細胞壁のより易反応性の官能基と反応して細胞内に侵入、酵素などを破壊していきます。繰り返し使用しても耐性菌が発生しないのはこのためだと考えられています。
一方、厨房内で一般的に使用されている殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムが拳げられますが、こちらは細胞壁を通過し、細胞内の酵素を破壊します。しかし繰り返し使用して行くうちに、耐性菌が生まれてしまう可能性があります。現在、厨房内で使用されている殺菌剤とオゾンを水に溶存したオゾン水を比較したのが「オゾン水と他の消毒・殺菌剤との比較」表です。
オゾンには、浸透性がなく、例えば食材であればオゾンと触れた面のみを殺菌し、内部の劣化を起こすことは殆どありません。
オゾン水の場合、半減期は20~25℃、常圧の状態で10~60分と非常に短く、また、周囲の有機物との接触で容易に分解するため残留性がありません。次亜塩素酸の場合、特有の塩素臭が残るほか、水道水の中の有機物と反応し、トリハロメタンなどの発ガン性物質が発生するというデメリットがあります。
この残留性がないことが、オゾン水の最大の特徴です。
また、オゾンガスの場合も、空気中では、湿度により自然分解されます。
オゾン殺菌のしくみ |
細菌細胞は、染色体の外側にたん白質と脂質でできた柔らかい細胞膜があり、その外側にたん白質、多糖、脂質でできた細胞壁があります。オゾンが水中に放出されると、オゾンと水分が反応してOHラジカルが生成され、堅い細胞壁を酸化破壊しはじめます。そうしますと、細胞浸過率が変化し、酵素の活性化が失われ、核酸が不活性化されることにより、細菌は死滅します |
MRSA処理前 |
オゾン水処理後 |
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O-157処理前 |
オゾン水処理後 |